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家づくり

使いやすい?オープンクローゼットを採用するメリット・デメリット

2024.12.07
使いやすい?オープンクローゼットを採用するメリット・デメリット

近年採用する方が増えてきている、オープンクローゼット。空間の使い方や使用時の動作を考えたときのメリットが大きいと考える人が多いようです。ただ、メリットがあればもちろんデメリットもあるもの。自分のライフスタイルや家づくりに適しているか、しっかりと見極める必要があります。住み始めてから後悔のないよう、オープンクローゼットのメリット・デメリットを改めて確認しましょう。

「オープンクローゼット」とは

オープンクローゼットとは、その名の通り開けたクローゼットのこと。クローゼットはこれまで扉があるものが一般的でしたが、扉は無くし、枕棚やハンガーパイプのみ取り付けるオープンクローゼットが近年人気となってきています。

 

一般的なクローゼット。扉には折れ戸や引き戸が採用されます。

 

オープンクローゼット。こちらは枕棚とハンガーパイプを設置しています。

 

おしゃれなハンガーパイプのみを設置した事例も。

オープンクローゼットのメリット

物の出し入れがしやすい

扉を開け閉めする動作を省けるため、身支度や片付けをスムーズに行えます。また通常のクローゼットで扉を開けた際、引き戸を採用した場合はクローゼットの半分が見えず、折れ戸の場合も両サイドが見えづらくなります。しかしオープンクローゼットなら中にある物を把握しやすいので、洋服のコーディネートも決めやすくなり、着替えの際に生じるちょっとしたストレスも軽減できるでしょう。

 

クローゼット内の通気性が良い

扉があるクローゼットの場合、特に問題になりやすいのは湿気がたまることです。洋服やバッグなどにカビがついてしまったり、嫌な臭いが気になったりといった問題を解消するには定期的に換気をする必要がありますが、オープンクローゼットならわざわざ換気をする必要はありません。収納内の湿気に悩まされている人にはオープンクローゼットはぴったりです。

 

コストを削減できる

扉を採用した場合は扉自体の金額に加え、設置費用もかかります。家の中には多くの収納が欲しいところですが、あればあるほど費用もかさみます。扉が必要な場所を見極め、来客の目に触れないなど必要の無さそうな場所は扉を無くすという選択も、全体のコスト削減には有効な手段です。

 

無駄なスペースがない

オープンクローゼットは扉がない分、クローゼット内の空間を隅々まで効率的に活用できます。
開き戸を設けた場合、その開閉のために扉前のスペースを空けておく必要があり、物を置けない場所が生じます。
また、一般的な扉ありクローゼットでは、扉の可動部分が邪魔になり、引き出しの設置が難しくなったりすることもあります。
これらによって、クローゼット内外にデッドスペースが生まれがちです。
その点、オープンクローゼットはスペースを最大限に活かし、収納力を最大化できる理想的な選択肢と言えるでしょう。

 

部屋の一部として使用できる

家族が増えて衣類の量が多い時期には、クローゼット全体を収納スペースとしてフル活用できます。
一方で、子どもの成長やライフスタイルの変化で収納が少なくなった場合は、空いたスペースをデスクや趣味のコーナーなど、部屋の一部として使うことも可能です。
扉がないからこそ、収納だけに縛られず、多目的な空間として活用できる点がメリットです。

 

指をはさまない

オープンクローゼットには扉がないため、開け閉め時に指を挟む心配がありません。
特に小さな子どもがいる家庭では、扉で指を挟み事故が起こりやすいため、安全性の面でも安心です。指を挟む危険がなく、開閉に力も不要なため、お子様からご年配の方まで誰もが安心して使える設計と言えるでしょう。

オープンクローゼットのデメリット

生活感が出て、見た目がごちゃごちゃしやすい

オープンクローゼットは収納が丸見えになるため、生活感が出やすく、整理整頓されていないと部屋全体が雑然とした印象になってしまう点がデメリットです。急な来客時には注意が必要です。一方で、きれいに保つ意識が自然と働き、整理整頓の習慣がつくきっかけにもなります。目隠し用のカーテンや統一感のある収納ボックスを活用すれば、見た目のごちゃごちゃ感を抑えることも可能です。

 

ほこりがたまりやすい

扉がないため、外からのほこりを防ぐことができません。大切な洋服などのアイテムを守るためには定期的な掃除が不可欠です。また床に棚などはなるべく置かず、掃除しやすい状態に整えておくと良いでしょう。

 

中の物が日焼けしてしまう

室内であっても、日差しや蛍光灯の光で衣類は日焼けしてしまいます。間取りを考える際に窓の位置や向き、大きさも念頭に置いてクローゼットを設置しましょう。強い日差しが入りやすい時間帯はカーテンを閉めたり、使用頻度が低い物にはカバーをつけたりするのも有効です。

 

防虫効果が下がる

衣類収納には防虫剤を使用するものですが、防虫剤は密閉していない場所では成分が分散してしまい、しっかりとした防虫効果が期待できません。衣類の虫食いの主な原因は汚れやほこり、湿気なので、普段の手入れや掃除を怠らないようにしましょう。またカバータイプの防虫剤もあるので、必要に応じて活用すると良いでしょう。

 

冷暖房効率が下がる

扉がない分、エアコンの冷気や暖気が収納内部まで広がりやすく、冷暖房効率が下がるというデメリットがあります。
ただし、オープンクロゼットを設けたからといって大幅に冷暖房効率が下がることはないでしょう。
光熱費が余計にかからないように、対策としてクローゼット部分にカーテンやロールスクリーンを設けることで、空気の流れを遮り効率を保つことが可能です。

中を隠せるオープンクローゼット

デメリットの中でも特に気になるのは、来客に見られることではないでしょうか。整理整頓も大切ですが、どんなにきれいにしていても視線が気になってしまう人もいるかと思います。そのような場合には普段はオープンにしておき、来客時にさっと隠せるカーテンやロールスクリーンの設置がおすすめです。また住み始めはカーテンなどの設置をしなくても、ライフスタイルの変化に合わせて後から設置できるように下地を入れておく場合も多くあるので、施工会社に相談してみると良いでしょう。

 

オープンクローゼットが特に最適な場所

オープンクローゼットが最も採用される場所は子ども室です。扉の無いクローゼットは力の弱い小さな子どもでも使いやすく、指をはさむなど事故の心配もありません。また、小さなころは洋服を親の物と一緒に管理するという家庭も多いのではないでしょうか。その場合はクローゼットとして使わず棚を設置しおもちゃや絵本の置き場とし、成長してからクローゼットとして自分で衣類を管理するように変化させる、という使い方も可能です。中が見えることで整理整頓へ意識が向きやすいことも、子どもの習慣づけには良いところです。

 

小さなころはおもちゃ置き場に。アクセントクロスを採用しても◎

 

 

もちろん他にも寝室に採用したり、廊下に設けたファミリークローゼットをオープンにしたりする事例もあります。大切なのは目的やライフスタイルに合っているかどうかなので、自分たちの暮らしをイメージして検討しましょう。

 

寝室の一角をおしゃれなショップのようなオープンクローゼットに。ディスプレイを楽しみたい人にもオープンクローゼットは適しています。

オープンクローゼットで後悔しないための対策

失敗を避けるために、あらかじめ工夫しておきたい対策をいくつかご紹介します。

 

配置場所を分ける

衣類や小物を使用頻度や季節に応じてゾーン分けするのが効果的です。
毎日使う服やバッグは取り出しやすい位置に配置し、シーズンオフのアイテムは奥や上段など、ホコリの影響を受けにくい場所にまとめておくとスッキリします。
収納ボックスや仕切り棚を活用し、「見せる収納」と「隠す収納」を分けておくことがおすすめです。

 

目隠しを設置する

カーテンやロールスクリーン、パーテーションを取り付けることで、急な来客時にも慌てず対応でき、生活感を程よく隠すことができます。
また、直射日光が差し込む部屋では、目隠しが衣類の日焼け防止にも役立ちます。
インテリアを大切にしたい方は、部屋の雰囲気に合った色や素材のカーテンを選ぶとおしゃれも演出できます。

 

衣類にカバーをかける

ホコリや虫からのダメージが気になる衣類には、不織布や防虫機能付きのカバーを使うと効果的です。
特にスーツやコートなど大切な服は、カバーをかけることで汚れや虫害を大幅に軽減できます。
よく着る服はそのままでも問題ありませんが、使用頻度の低い洋服や物はまとめてカバーで保護すると管理がしやすくなります。

 

物や棚を下に置かない

オープンクローゼットはほこりがたまりやすいため、床に物や収納棚を置かないことが大切です。
床面が空いていると掃除機がかけやすく、清潔な状態を保ちやすくなります。
ただし、床に物を置かない分、収納スペースが減るため、キャスター付きの収納ボックスを活用したり、2段になっているブランコハンガーを活用するなど収納力を補う工夫が必要です。

オープンクローゼットを取り入れるなら建築士にご相談を

近年注目されるオープンクローゼットについて、改めて知ってもらえたでしょうか。採用する際は、メリット・デメリットを理解した上で、家族のライフスタイルに合ったクローゼットとなるよう場所や使い方を見極めましょう。悩んだ際にはこれまでの事例を踏まえてアドバイスしますので、お気軽に建築士にご相談ください。

 

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