「高性能住宅」に明確な基準や定義はありませんが、一般的には以下の5つの性能が良い家を指すことが多いです。
断熱性
断熱性とは、室外からの温度を遮断し、暑さや寒さの影響を受けにくくする性能です。
断熱性は、1~7まで7段階の「断熱等級」で表されます。数字が大きければ大きいほど熱の出入りが少なく、断熱性能が高いことを意味します。
2025年以降に新築する住宅は、断熱等級4以上、2030年には等級5以上の義務化が決まっています。断熱等級4以上やエネルギー消費基準をクリアしていないと【フラット35】※を借りることができないなど、すでに断熱等級は4が基本となっています。
断熱性能の良いお家は、夏は外の熱気を遮断し、冷房の効いた涼しい空気を閉じ込めることで、電気代の節約にもつながります。逆に冬は冷たい空気を遮断し、暖房で温まった空気を保ってくれるので、室内の急激な温度変化によるヒートショックのリスクを減らせます。
室内を快適な温度に調節するために、断熱性は非常に重要なポイントです。
※【フラット35】…全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う「全期間固定金利型住宅ローン」のこと。
気密性
気密性とは、壁や床などの隙間を無くして密閉することで、室温をできるだけ長く一定に保つ性能のことです。
また、断熱性だけ高めても、隙間があれば外の空気が侵入して室温が変化してしまうため、気密性とセットで導入して効果を高めるのが一般的です。ただし、気密性を高くしすぎると、換気や除湿をしづらくなるため、除湿器を導入するなどの工夫が必要になります。
気密性の良いお家は、花粉やPM2.5などが室内に入り込むのを防いでくれる効果があります。
また、季節を問わずエアコンの効いた快適な空間にもしてくれます。
耐久性
住宅がどれくらい長持ちするかに関わってくるのが、耐久性です。住宅にも一定の寿命があります。雨風で外壁の塗装が劣化したり、傷がついたりなど、建てた当時のままを永遠に保てるわけではありません。
一般的に、木造住宅の耐用年数は、30年前後といわれています。100年程度持つとされている鉄筋コンクリート造マンションと比較すると、木造住宅のほうが耐久性は低くなってしまいます。
しかし、建材の選び方や工法、塗装などの工夫で、30年以上の長期にわたって暮らすことも可能です。実際に、国によって認定された「長期優良住宅」ならば、木造であっても耐久性に優れているので、75〜100年は持つといわれています。
耐震性
耐震性とは、地震のゆれに対して建物がどの程度耐えられるかの安全性の指標です。
近年話題になっている南海トラフ地震の対策としても注目度の高い性能です。
耐震性は3段階の「耐震等級」で表されます。
耐震等級1は、建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たす水準。
耐震等級2は、1の1.25倍の地震に耐えられる水準です。災害時の避難所として指定される学校などの公共施設は等級2が義務づけられています。
耐震等級3は、2の1.5倍の地震力に耐えられる水準です。災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署など多くがこの等級で建設されています。
震度6~7程度の大地震に耐えるためには、最も耐久レベルが高い「耐震等級3」が最善とされています。また、国が定める「長期優良住宅」として認定されるためには、耐震等級3の基準をクリアする必要があります。
家族みんなが安心して暮らすために、耐震性は欠かせない性能です。
省エネ性
省エネ住宅とは、消費エネルギーを抑えた住宅のことです。断熱性や気密性に優れた高性能住宅は、冷暖房エネルギーを抑えられるため、必然的に省エネ性も高くなります。近年は、消費エネルギーを減らすだけでなく、太陽光発電システムなどでエネルギーを生みだす「創エネ住宅」の人気も高まっています。
エネルギー消費量を抑えられるので、電気代の節約になるなど、家計にもやさしい性能です。





